これは遠いいにしえの時代の話。
ある寒い日の朝。友人のフジータに連れられて、俺はツクーバ山脈の麓にあるナサップ村に来た。先日このナサップ村では古代滑空兵器「アトラス」と「ファルコン」が発見されたそうで、村民たちは毎日コーシュー城に赴いては滑空術の研究をしているらしい。
ナサップ村の役場に入ると、2人の男が中央のテーブルに置かれた地図を囲んで話をしていた。イタサン村長と戦士タカモンだ。
イタサン村長
「おお、よくぞ来てくれた。これが、伝説の神龍ミドガルズオルムが落としたという龍の玉のありかを示した地図じゃ。」
地図にはツクーバ山脈とその周辺が描かれており、その上にクネクネした一本の曲線が引かれていた。
イタサン村長
「この奇妙な曲線は神龍ミドガルズオルムが飛んだ軌跡、GPSフライトログじゃ。」
(GPSフライトログってなんだ!?)
その「GPSフライトログ」なる曲線の中で、同じところをグルグル周ってできたと思われる円があり、その円の中心に×印が描かれていた。ツクーバ山脈の西側のかなり深いところだ。
フジータ「その×印のところに龍の玉があるんですね!」
イタサン村長「その通りじゃ。」
戦士タカモン「しかしその×印のあたりはとても険しく、容易には立ち入れない。」
イタサン村長「うむ。みな十分に備えが済んだら出発じゃ。」
馬車でウワソ峠を超え、ツクーバ山脈の西側に来た。今は使われていない山賊の小屋があったので、そこに馬車をとめて徒歩で山に入った。
想像以上に険しい。ヤブが生い茂り、落ち葉と枯れ枝で足元は滑りやすい。途中何度も倒木や崖や川に阻まれた。
一番後ろを歩いていたフジータが俺の肩をたたいた。
フジータ「拭くもの持ってない?」
俺はリュックの中を探り、残り2枚ほど入った「携帯用ちり紙」を渡した。
フジータ「足りない分は落ち葉で何とかするか・・・。」
そういってフジータは茂みの中へ消えた。
落ち葉で何とかする?どういうことだろう。そういえばさっきお腹の調子が悪いとか言ってたな。
太陽が昇り切ったころ、GPSフライトログで描かれた円に到着した。
イタサン村長
「龍の玉は落とした時の勢いで×印の周辺に転がってしまっただろう。玉はこの円の中にあるはずだ。ここからは手分けして探そう。」
現場に来て分かったが、円の中といってもかなり広い。ナサップ村の宿舎の敷地の位はあるだろうか。全員が内心「見つからないだろう。」と思いながら探していた。
と思ったらあっさり見つけた。俺は落ち葉の絨毯の上に粉々になった玉を見つけるや否や、みんなに聞こえる声で叫んだ。
「あったぞー!!」
「「「えーうそーー!!」」」
玉のところにみんなが集まった。
イタサン村長
「割れてしまっているが、破片を持ち帰って作り直そう。見つけた褒美として、選ばれた者だけが入れる楽園「ソープアイランド」に連れて行ってやろう。」
完
この物語はフィクションです。